約束できない夫

「約束できなくてごめん」

昨年入籍した、私の夫の言葉である。

 

少し補足すると、
「つくしさんと一生一緒にいる、という約束が出来なくてごめん。」
ということ。

一生一緒に居たくて結婚したのではないのか。

 

あなたが私に言った、

「僕がつくしさんとした約束はひとつだけ。
何があってもつくしさんと一緒にいる、ということ」

 

という、歯が浮きそうなセリフにズキュン!としてしまった
私の心の行き場はどうなるんだ。

 

そう、でも、べつに、こんなの今に始まったことじゃない。

夫は、

・自分が言ったことを都合良く忘れる
・言ったことに責任を持たない
・言っていないことも言ったことになる

 

言ったとか言わないとか、事実がなんであろうと、
夫にとっての正解は、
「その瞬間の夫の脳みそが考えたこと」
なのだ。

 

数分前に違うことを言っていたって、
悪びれることもなく、本気で、
全然別の主張をする。

 

聞いているほうは、「は?さっき言ったことと矛盾してますけど?」
みたいな反応をしてしまうが、
本人にとっては「今言ったこと」が正解なので、
「数分前に言ったこと」なんて、認めない。
「僕はそんなことは言ってない」と本気で思っているらしい。

 

ほんの数分前の自分が言ったことを認められないのに、
数日前・数か月前の自分なんて、別の惑星の赤の他人の出来事
というくらい、興味も関心もないので、
まさか自分ごととしての認識なんて持てないのである。

 

「おじいちゃん、おばあちゃんになっても
いつまでも仲良しの夫婦でいようね」

な~んて言って結婚したけど。

 

ほんの数日前にセックスについて真剣に話し合い、
より良い性生活が送れるよう努力しようと話したことや、

 

夫の親友に私をぜひ会わせたいと、食事会を企画したりしていたのに、
元旦のめでたいときに「離婚したい」と言えるような人だ。

 

「1分ごとに生まれ変わっている」

と思ったほうがいいのかもしれない。


夫が認識したものだけが、夫の歴史なのである。
私から見ていた夫、私との関わりの中での夫は、
存在していないのだろう。

 

時系列で流れを説明しても、
過去の自分を自分として認識しないので、
私のほうがおかしなことを言っていると思っている。きっと。

 

もう、だいぶ慣れてきたつもりでいたけど、
「約束できなくてごめん」なんて言われると、
やっぱり切ない。